コンノサトミこんにちは!仙台市若林区にある女性のための鍼灸院、MAHARIQ鍼灸院のコンノサトミです!


こちらの記事でもお話した更年期障害ですが、今日はセルフケアで気をつけて欲しいこと、東洋医学的な目線での更年期障害のとらえ方をお伝えしていきます。
セルフケアは難しい
更年期障害について、効くツボはないの?とか、お灸のやり方を聞かれることは少なくありません。それだけ皆さん悩んでいるんだと感じます。
更年期障害で起こりやすい症状のトップに入るのはホットフラッシュです。急に噴き出すように汗が出たり、のぼせたりする症状ですが、これはツボ押しやご自宅でのお灸では対処が難しいと感じています。
それは、東洋医学的に診た時に、症状の原因が体の中の熱の偏りだからです。冷えているからとか、外から熱が入ってのぼせているなら自宅でのお灸でも対処はしやすいのですが、体の中で余分な熱が作られ、それが暴走している状態でお灸をすると、余計に熱をこもらせてしまうことがあります。
ホットフラッシュは日常的に困る症状ではありますが、それ故にプロの治療を要する症状です。
東洋医学的に診た更年期障害
東洋医学的に更年期の期間を見てみると、『陰虚』という状態になっていることが多いです。体の中の水分は、陰陽でいうと陰に分類されます。虚は『足りていない、不足している』状態のこと。陰虚は体の中の潤いが不足している状態です。
体の中は、水(陰)と火(陽)のバランスが大切です。適切な火加減で、水を温め続けること。6割以上が水分でできている私たち人間の体は、この火加減がとても重要で、ぬるくても生きていけないし、熱くてもダメですね。
陰陽バランスを整えるというのは難しいことではなくて、このように常に私たちの体が生きていけるように火加減と水分量の調整をしていることそのものです。
陰虚は水が減りすぎてしまったために、熱くなりすぎている状態です。
陰虚の主な症状
- 体温調節がしにくくなる
- 火照りやすくなる
- 動悸がする
- 手足がつりやすい
- 口が乾く
- 便秘がちになる
- 気持ちが不安定になる
- ふらつく
- 肌がカサつく、荒れやすい
更年期障害そのものみたいな症状が並んでいますが、これは更年期でなくとも、例えば寝不足が続いたりするとおこることがあります。
さらに詳しく分類すると、東洋医学の五臓(内臓のようなもの)である【肝】と【腎】の弱りも関係しています。それぞれこのような症状が現れやすいです。
肝の弱り 【肝陰虚タイプ】
- のぼせがひどい
- イライラする
- 目が疲れやすい、充血する
- めまいがする
- 爪が弱くなる
腎の弱り 【腎陰虚タイプ】
- 腰膝がだるい、力が入りにくい
- 足腰が冷えやすい
- トイレが近い、膀胱炎になりやすい
- 髪が細い、抜けやすい
鍼灸治療でできること
陰虚の体に必要なことは、
体の中の潤いを増やすこと
潤いのもととなる食事(栄養)を摂れるように胃腸を整えること
頭や上半身に偏っている熱(のぼせ)を体全体に散らすことです。
熱はもともと体にとって必要なものです。それを無理やり冷やしてしまっては、体はまた熱を作ろうとして余計にのぼせがひどくなることもあります。ついついアイスノンで冷やしたくなりますが、ご自宅なら足湯をしたり、熱いシャワーを足に当てることで、下半身が刺激されのぼせが自然にひくこともありますので、試してみてくださいね。
冒頭では、セルフケアはおすすめしないと言いましたが、何もしないのも辛いものです。
体の声を聞いて、できることを少しだけやってあげるのがいいと思います。
私がセルフケアをおすすめしない理由
更年期の話ではないのですが、少しお話させてください。
鍼灸師をしていると本当によく言われるのが『効くツボないの?』です。何百回言われたかわかりません(笑)
もちろん鍼灸師はツボ選びのプロではありますが、私たち鍼灸師はツボに鍼やお灸をするのが仕事です。お灸は市販のもので自分でできるからと思っても、刺激量や使う道具は、その方の体調や病態に合わせて調整が必要です。
なので、症状が深刻そうな場合ほど、私はセルフケアをおすすめしません。
あと、産前産後の方にもおすすめしません。その時期は人に頼ることが必要な時期です。お腹が大きいから、小さい子供がいるから、とお出かけしにくい理由は分かります。私もそうでした。でも私はその時期に人に頼るのが下手で、とても辛い産後を過ごしました。そんな経験は本当にしてほしくないんです。
だから、産前産後の方にはセルフケアをおすすめしません。どんどん人にやってもらいましょう。
1年から数年(長いともっと)続くと言われている更年期障害。何もなかったという人もいれば、3人に1人は日常生活に影響するレベルまでひどくなります。ひどくなったとしても、こうして少しでも知識があると不安が減って安心感が生まれます。このブログが少しでも心の余裕をうみますように。


